「20年前の仮説」
拝啓
初霜の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご厚誼にあずかり、厚く御礼申し上げます。
今年は気のせいか紅葉が綺麗だなと思っていたら、猛暑から急激に気温が下がったので「綺麗らしい」、と言う人もいれば「暑すぎる年はダメ」だとか色々見解があるようです。
我々にとって紅葉よりも本当に気になるのは不動産の景気動向の方ですが、こちらも沿線や地域によってマチマチで一概に申し上げることが出来ません。
そんな中、「大京」や「明和地所」といったマンション分譲最大手の会社がこぞって戸建分譲事業に参入すると発表しました。
理由は大きく分けて二つ。
一つ目は「売れないから」。
もちろん全く売れてない訳じゃありません。
ただ売れるマンションは「都心」であったり、「人気駅」であったり、「駅5分」であったりと売れる条件が非常に厳しくなっているのです。
したがって郊外型の大型マンションなどは用地の取得をしない方向だとか。
南林間界隈にもいくつかありますよ「マンション分譲予定」と書いてあってここ数年放置されている更地が…。
2つ目は戸建分譲はマンションに比べ資金の回収が早いということ。
規模にもよりますがマンションの場合、用地取得から建物が完成し全ての入居者に引渡すまでどんなに早くても1年ちょっと。
今はなかなか売れないので下手すりゃ2年3年は当たり前という感じです。
その点戸建の場合、まず同じ用地でも販売数が少ない上に早ければ半年で資金を回収できます。
でもそもそもマンションは効率がいいから大手がバンバンやってきたわけで、戸建は数が少ないので面倒だからあまり本格参入してこなかったはずなんですけどね。
戸建分譲事業でマンションと同じ売上を上げようと思ったら、何倍もの数の現場を回さなければならないので、相当効率良く現場管理をして社員も少数精鋭化せざるを得ないでしょうね。
そうなると更に業界再編が進むのかなぁ。
私が大学を卒業してこの業界に入った時に確か「マンション分譲という事業は2017 年に成り立たなくなる、という仮説がある」と当時の上司から聞かされたことがありました。
あの時は「そんな先の話は心配するに値しない」と聞く耳をもっていませんでした。
少子化、持ち家率の増加、日本の国力の低下などがその理由だったと記憶しますが、20 年以
上前にも関わらず的確に言い当てていたような気がします。
もちろんあと6~7 年で完全に新築マンションがなくなることはないと思いますが、超一等地などに限られ、今までのように週末になると「新聞の折り込みチラシがドッサリ」なんてことはなくなってしまうんでしょうね。建替えやリフォーム事業がもっと盛んになるだろうなぁ。
気が付けば今年もあとひと月を残すのみとなりました。
昼間はまだ暖かい日がありますが、朝晩はかなり冷え込みます。
特にインフルエンザなどにはお気をつけてお過ごしください。
一番の予防はなんといっても「手洗いとうがい」だそうですよ。
敬具
2010年11月 第138号「20年前の仮説」
2010.11.03 | オーナーズ倶楽部一覧へ